RAGとは?資料に基づくAIを解説

要点

RAG(Retrieval-Augmented Generation、検索拡張生成)とは、AIが回答する前に情報を検索する仕組みです。学習時の記憶だけに頼らず、自分の文書から関連箇所を探してモデルへ渡し、その内容に基づく回答と元資料への出典を生成します。学習時点の制約、AIが自分のファイルを知らない問題、自信を持った作り話の多くを軽減します。ただし、すべてを防げるわけではありません。

問題を正しく理解する

言語モデルは、一度読んだ大量の文章を非常に上手く圧縮したものと考えられます。流暢で幅広い知識を持つ一方、3つの弱点があります。学習終了後の情報を知らず、非公開情報を一度も読んでおらず、知らないことにもそれらしい答えを生成します。それらしい文章を作ることが、モデルの基本的な仕事だからです。

文書を書くたびにモデルを再学習することはできません。そこで、回答の根拠となる場所を変えます。

4つの手順

  1. 索引化。追加した文書を、数段落程度の小さなまとまりへ分割します。次に、それぞれを内容の意味的な特徴を捉える数値表現へ変換します。この前処理は、文書を追加した時点で一度だけ行います。
  2. 検索。質問も同じ方法で変換し、意味が最も近い箇所を探します。単語の一致ではありません。「配送遅延について何を合意した?」という質問から、その単語を使わず「出荷の遅れ」と書かれた段落も見つけられます。
  3. 拡張。検索した箇所を質問とともにモデルのコンテキストへ入れ、提供資料に基づいて回答するよう指示します。
  4. 生成と出典。モデルが回答を書きます。システムは渡した箇所を把握しているため、各主張を元資料へ結び付けられます。

仕組みはこれだけです。技術的な工夫が大きいのは手順2、信頼性を支えるのは手順4です。

元資料へつながる出典付きの回答を表示するNeurobase。
重要な機能は出典です。確認できない回答は、自信に満ちた意見にすぎません。

「チャットへ貼り付ける」こととの違い

会話に文書を添付すると、その会話では文書全体がモデルのコンテキストに入ります。論文1本なら十分です。しかし90本ある場合、翌月も質問する場合、関連段落が340ページ目にあり、残り339ページがモデルの注意を奪う場合には上手く機能しません。

RAGは一度索引化し、質問ごとに検索します。設定は一度だけで、文書群全体へ継続的に質問できます。詳しい違いはGPT-5とGeminiの比較でも解説しています。大きなコンテキストを持つモデルで単一文書の差は縮まりましたが、繰り返し使う文書群ではRAGの利点が残ります。

RAGでも失敗する場面

「資料に基づく」が「正しい」と同じ意味で使われがちなため、正確に区別しましょう。

2つ目の背景にある仕組みは、AIが事実と異なる内容を生成する理由で解説しています。

導入する価値がある場面

状況適した方法
文書1つ、質問1つチャットへ貼り付ける
長い文書1つへ繰り返し質問どちらでも可。RAGがやや有利
1つのテーマに数十の文書RAG
他者が回答を判断に使うRAG。検索より出典が重要
PDF、動画、音声、Webページの混在すべてに対応するRAG
一般知識の質問どちらも不要。モデルへそのまま質問

製品ではどう見えるか

Neurobaseは私たちなりの実装です。PDF、テキストファイル、動画、YouTube、Webページ、画像、音声をNeuronへ追加すると、特定分野に詳しく、元資料への出典付きで回答するアシスタントとして索引化します。回答は利用前にLabでテストでき、複数のNeuronsをSummarize、Compare、Extract、Translateなどの操作とつないでワークフローにできます。

概念ではなく具体的な方法を知りたい場合は、PDFフォルダから出典付きアシスタントを作る方法をご覧ください。

よくある質問

RAGとは?

検索拡張生成です。文書を検索し、関連箇所をモデルへ渡し、その内容に基づく出典付き回答を作ります。

どんな問題を解決しますか?

学習時点の制約、AIが知らない非公開文書、自信を持った作り話を軽減します。出典から信頼するのではなく確認できます。

チャットにファイルを添付するのと同じですか?

いいえ。ファイル添付は1文書を1会話で使います。RAGは文書群を一度索引化し、多くの会話で質問ごとに検索します。

RAGならAIは事実と異なる内容を生成しませんか?

大幅に減らせますが完全ではありません。検索漏れ、根拠を超えた回答、誤った資料があり得ます。出典により確認できます。